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 レイとリボンレイのお話 

 

 

ハワイの空港やホテルで、レイを掛けてもらった経験はありますか?

私は初めてハワイを訪れた時、鮮やかなピンクと白のオーキッドの美しいレイを掛けてもらい、感激した思い出があります。

その美しいレイの歴史について、私が知っている限りのことをお話しましょう。

ハワイのレイの歴史

レイはハワイの文化・生活に欠かすことのできないもののひとつです。

レイのイメージは美しい色彩や香りある華やかな花ですが、かつては神に捧げるものとして、フラの踊り手や戦士が身に付けるものでした。そのため、レイには香りや美しさよりも、霊的な力が求められました。

 

●古代ハワイ

〜神への捧げもの、羽や髪に宿るマナを呼び込むレイ〜

レイの文化は、12世紀頃にマルケサス諸島からハワイに移住してきたポリネシア人たちによって持ち込まれたのが始まりといわれています。その頃のレイは、神の怒りを鎮めたり、悪霊を祓う魔除け、強さを身に付けるためのお守りのような意味をもっていました。霊的な力は「マナ」と呼ばれ、貝や海藻、木、石、オオやマモといった山鳥(ハワイミツスイ)の羽毛、あるいは獣骨や牙、人骨や頭髪などに宿ると信じられていました。なかでも巨大なマッコウクジラやサメの歯や骨、さらには大酋長(アリイ・ヌイ=ロイヤルファミリー)の遺骨や頭髪など、権力や高い能力をもつ者には特に強いマナが宿ると重んじられていました。これらの自然物でレイを作り、マナを身体に呼び込もうとしたのです。

  

さまざまな植物もまた、同様にレイになりました。例えば「マイレ」のレイは戦いの休止や終了の印として使われました。「ティ」は厄除け、「ポーフエフエ」(ハマガオ)は漁師が安全と豊漁を祈願して身に付け、「ピカケ」や「ハラ」(パンダナス)のレイはフラの女神ラカに捧げられました。「オヒア・レフア」は火の女神ペレの化身であり、「ラマ」(ハワイ固有種の柿の木)はフラと森の女神であるラカの化身と信じられました。シダの一種である「パラパライ」はフラの女神ラカが身に付けたとされ、黄金色をした「イリマ」は高貴な花として王朝の儀式などで用いられました。このように、植物は人々の信仰に重要な役割を果たしましたが、数ある素材のうちのひとつにすぎませんでした。

 

 

 

19世紀以降

〜親愛、歓迎を示す象徴、香り高い花のレイが主流に〜

それまではポリネシアの伝統に基づいたレイが主流でしたが、ジェームス・クックが来島した18世紀末以降、ハワイの人々が西欧の人々と盛んに交流をはじめ、やがて少しずつ花を用いたものが主流となりました。レイは親愛の情を示す手段として、誕生日や冠婚葬祭、祭日、ハワイを訪れる観光客に歓迎の象徴として贈られるようになりました。花をレイにする習慣は南アジアの風習が取り込まれたという説もあります。葉のレイは中国やインドから、ジャスミンなど花を用いた

レイは南アジアから伝わったとされています。

観光客にレイを贈る習慣は、船でハワイ諸島に到着した人々を歓迎するため、美しく香りのよいレイを作ってはカヌーに積み、外国からやってきた客船まで近づき、船上の客たちにいち早く商売をしたのが最初だといわれています。当時、アロハタワーの埠頭やチャイナタウンのマウナケア通りには、道に座ってカラフルなレイを作って売る人たちが大勢並んでいました。

レイの香りの豊かさも重要なポイントとされるようになったのは、ハワイの人たちの
趣向というよりも、すでにハワイに定住していた西欧人たちの趣向が強く反映された結果ではないでしょうか。花の甘い優しい香りには、心を癒したり幸せな気分にさせるヒーリング効果があるようで、大変人気がありました。当時、最も高価で人気のあったレイは、花の色が咲き始めの純白から徐々にオレンジ色に変化し、甘く魅惑的な香りを放つ「10セントの花」という意味をもつ「プア ケニケニ」でした。

 

 

20世紀

〜ハワイ各島に シンボル・レイが誕生〜

20世紀に入ると各島にシンボル・レイが誕生しました。カウアイ島は「モキハナ」、オアフ島は「イリマ」、モロカイ島は「ククイ」、ラナイ島は「カウナオア」、カホオラヴェ島は「ヒナヒナ」*、マウイ島は「ロケラニ」(ダマスク・ローズ)、ハワイ島は「オヒア・レフア」です。ちなみに、ニイハウ島は植物ではなく「ププ」と呼ばれる白い貝のレイです。各島を象徴するレイを作るときは、これらを用いました。

*ヒナヒナのレイには2種類あり、エアープランツの「スパニッシュ・モス」を用いる場合と、「ビーチ・ヘリオトロープ」が用いられる場合とがあります。ちなみに、「ヒナヒナ」はハワイ語でグレー色という意味です。

 

 

●今日

〜アレンジされたレイが登場。でもアロハの心を示す意味は同じ〜

今日のハワイでも、歓迎やお祝い、愛情・感謝・尊敬の気持ち、幸せを願って、レイを日常的に贈り合う習慣があります。花や葉や貝殻、木の実や種、鳥の羽など、自然の産物を神聖なる素材としてつないでいくレイの伝統は、ハワイの人々の心を表現するものとして、古代ハワイから受け継がれてきました。

レイは香りのよいフレッシュな花や葉などで作るのが一般的ですが、最近では布や紙、紙幣やコイン、さらにはお菓子や玩具などをネットに入れたレイが登場するなど、新たな材料と発想を加えてアレンジされ、バリエーションに富んでいます。
なかでも、美しさをいつまでも残すことができるリボンや毛糸で作られたクラフトレイが注目されています。素材はさまざまですが、どのレイも感謝や祝福の気持ちがこめられていることに変わりはありません。

 

 

 

ハワイアンリボンレイの歴史

ECOとアロハスピリットから生まれたリボンレイ

色とりどりのリボンや毛糸、コードなどを針と糸で縫ったり編んだりして美しいレイに表現する、ハワイ生まれのクラフト、それがリボンレイです。その誕生は1990年半ば頃。当時、大手クラフトショップに勤めていたフラワーデザイナーのキャロル・ミトさんが、フラのコンペや卒業式などの大きなイベントのたびに大量の植物が摘み取られることを憂慮し、「ハワイの美しい自然を護り、未来の子供たちに残してあげたい…」という思いから、身近にあったリボンでレイを作ったことに始まります。その後メディアで大きく取り上げられ、ハワイはもちろんアメリカ本土、そして世界中に広く知れ渡ることになりました。

 

 

●新しいデザイン、スタイルのリボンレイ

リボンレイの特徴・魅力は、何よりその自由度の高さ。リボンという身近な素材ででき、ハワイの花だけでなく日本の花、植物図鑑でしか見たことのないような遠い異国の花もレイにすることができます。
そして、アイスクリームや虹だって、発想次第で日常のありとあらゆるものがリボンレイとして表現できます。

簡単なものなら1時間程度でひとつの作品が完成し、携帯ストラップやバレッタ、シュシュなどのアクセサリーにアレンジできる応用の高さと気軽さも魅力です。これからも新しいデザインのリボンレイが次々と生まれることでしょう。

 

 

●一針、一針、心を込めて…

リボンレイは生花のような新鮮さや香りは楽しめませんが、枯れることがありません。贈られたときの思い出と美しさのまま長く残すことができ、いつまでも「ALOHA(=愛情)を感じることができるため、手作りの贈り物として大変人気があります。また季節を問わず、好きな花や植物のレイを作ることができ、色や素材なども自由にアレンジすることができるので、贈る相手やシュチュエーションによって、どんなレイを作ろうかと考えることも楽しみのひとつです。

心地よいハワイアンミュージックを聴きながらリボンレイを作るひとときは、時間が経つのを忘れてしまうくらいに楽しいものです。一針一針心を込めて縫い上げていくリボンレイ。あなたもぜひリボンレイを作って、大切な方にプレゼントしてみませんか?贈るときにはもちろんALOHAの気持ちとハグも忘れずに…

 

「ハワイアンリボンレイのあるALOHALIFE」」(ダイヤモンド社)より抜粋

参考:「ハワイアン・ガーデン」平凡社 近藤純夫著

                                                                                        「ハワイ・オアフ島観光局」サイト http://visit-oahu.jp

 

 

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